気づいたら、賞味期限を何カ月も過ぎていた備蓄食料。申し訳ない気持ちで廃棄した……。
そんな経験はありませんか?
非常食にもなる大事な食べ物が、食品ロスになってしまうのは残念ですね。
そこで今回は、食品ロスが出ない食料備蓄のしかたについてまとめてみました。あわせて、備蓄におすすめの商品などもご紹介します。
食料備蓄の目安は1週間分の水、米、おかず
まず、食料備蓄の基本的なことを知っておきましょう。どんなものがどれくらい必要なのでしょうか。
以前は、災害を想定した備蓄は3日分でOKといわれてきました。
しかしいまは、広範囲にわたって大きな被害が発生した場合を考えると、1週間分はストックしておくのが望ましいといわれています。
では、1週間分の備蓄食料とは実際にどれくらいの量になるのでしょうか?
1週間分の備蓄食料リスト(1人当たり)
水……1日3ℓ×7日=21ℓ(飲料水+調理に必要な水)
米……精米または無洗米は2kg
レトルトご飯やアルファ米は1パック×3食×7日=21パック
缶詰(レトルト食品)……魚、肉、豆類など1個×3食×7日=21個
上記のリストは、緊急時を想定して、炭水化物とタンパク質を中心に1日1500kcalとれるように考えられたものです。
このほかカセットコンロ1台とガスボンベが6本あれば、電気やガスなどのライフラインが止まっても1週間は大丈夫といわれています。
出典:農林水産省 緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド
イワタニ カセットフー エコプレミアムII
イワタニカセットガス12本セット
中身も量も実情に合わせて選ぼう
ここで紹介したのは、農林水産省のガイドにもとづいた目安です。この基本をおさえたら、あとは実情に合わせてアレンジしましょう。
たとえば、主食をすべて米でまかなう必要はありません。パン、めん類、もちなどと組み合わせて食べるなら、それらと合わせて21食分あれば1週間分の食料になります。
さらに、実際に必要な食料の量や種類には個人差がありますし、家族がいるなら家族の人数や年代によっても変わってきます。
1年分、2年分の備蓄はどれくらいの量になるか
「うちは1週間分の備蓄では安心できない。保管場所もあるし、1年分蓄えておきたい」という人もいるかもしれません。
1年は約52週間なので、1週間分×52で計算すれば、1年分の備蓄食料の量がわかります。2年分ならその倍の量になりますね。
食料備蓄に役立つローリングストックとは
ローリングストックとは、食料品や日用品を少しだけ多めに買い置きして、使った分だけ買い足していく方法です。
つまり、買い置きしたものに「ふだん用」と「備蓄用」と両方の役目を持たせ、つねに更新しながら一定量をストックしておくわけです。
もちろん、備蓄専用の食料品を保管しておくのもそれはそれで安心です。
でも、保管庫などにしまっておくと、食べないうちに賞味期限を過ぎてしまうことがありますよね。
そうした食品ロスを出さないために、消費者庁や農林水産省からも推奨されているのがローリングストック法なのです。
ローリングストックがうまくいくコツは?
ローリングストックのポイントを理解する
ローリングストックをうまくいかせるには、まず次のポイントをおさえることが必要です。
- 【備える】普段使いの食料品の中でも、保存期間が長めのものを選んで少し多めに買う
- 【食べる】買い置きの食品をリスト化して、期限切れになる前に消費する
- 【買い足す】消費した分だけを補充する
賞味期限が近いものからバランスよく食べる
ポイントの2番目、「食べる」に関して気をつけたいのは、備蓄した食品を消費する順番です。賞味期限の近いものから順にふだんの食事に取り入れましょう。
そして栄養のバランスを考えて食べることも大事。次の3つのカテゴリから最低でも1品ずつ選んで食べましょう。
炭水化物の豊富な食品(穀類)
ご飯、パン、めん類
たんぱく質の豊富な食品
魚介類、肉類、大豆・大豆製品、卵類、乳類
食物繊維、ビタミン、ミネラルの豊富な食品
野菜類(野菜ジュースや野菜スープなども含む)
食べた分だけ買い足す
買い足す時は、3つ消費したら3つというふうに、食べた分だけ買い足すようにします。
こうすることによって常に一定量の食料を備蓄することができ、なおかつ食べ物が余ってムダになるのを防げます。
また、あまり口に合わなかったものは、口に合う別の製品に置き換えます。
災害時に食べ慣れないものを口にすると、それだけでストレスになりますが、ふだん好んで食べているものならそういう心配はありません。
備蓄食料のおすすめは?スーパーで買える商品でOK?
備蓄用の食品は、基本的に長期保存がきくものがおすすめです。
でも、ローリングストックで日常的に食べて回していくなら、スーパーで買える一般的な商品(賞味期限が6カ月以内のもの)も、じゅうぶん備蓄用として使えます。
じゃがいも、かぼちゃ、玉ねぎ、りんご、みかんなど、比較的日持ちのする野菜や果物も常備しておくとよいでしょう。
災害などの非常時とふだんの食事、両方の視点から見て利用しやすいものを選びましょう。
災害直後に役立つ備蓄食料をストックしておこう
地震、台風など、自然災害が発生した直後の緊急用としては、手を加えずにそのまま食べたり飲んだりできるものをストックしておくと役立ちます。
最低限、次の①②③のカテゴリーに入る食べ物・飲み物があると安心です。
①エネルギーになるもの
すぐに食べられて活動エネルギーになる炭水化物は必須です。レトルトのおかゆ、缶入りパン、ビスケット類、シリアル、栄養補助食品などから食べやすいものを選びましょう。
②必要な水分がとれるもの
生きるためには飲料水も欠かせません。野菜ジュースなど、ビタミン類のとれる飲料もあるとなお安心です。
天然水
野菜ジュース
ロングライフ牛乳
③心が落ち着くもの
自分好みのおやつ的な食べ物があると、ほっとして精神的ストレスもやわらぎます。
一口ようかん、フルーツの缶詰、ドライフルーツその他、日持ちのするものがおすすめです。
ローリングストックにもおすすめ!主食+2種のおかずの組み合わせ
大きな災害が起こってライフラインが停止したり、交通が遮断されたりした場合は、しばらく備蓄食料に頼る生活が続きます。
その場合は、健康のために栄養バランスを考えることも大切です。
それには主食(穀類)に「タンパク質がとれるおかず」と「ビタミン・ミネラル・食物繊維がとれるおかず」を組み合わせたストックが役立ちます。
具体的には、次のような商品があります。
主食になる備蓄食料
アルファ米、無洗米、レトルトご飯、カップめんなど
ビタミン、ミネラル、食物繊維がとれるおかず
野菜スープ、野菜を使ったレトルトのおかずなど
ローリングストックをやめたいときはどうする?
食料品を備蓄用、日常用ときっちり分けないローリングストック法。でも「やってみたけど、うちには向いていない」という人もいますよね。
チェックリストを作ったり管理したりするのが苦手、まめに買い物に行けずスムーズに補充できない、買い置きがあると子どもがお菓子をたくさん食べてしまう……等々。
そういう場合はローリングストックは中止して、5年、10年単位の長期保存ができる備蓄専用の食料品をまとめて購入しておいてはどうでしょうか。それなら、ふだんは備蓄のことを考える必要がなくなります。
日々使う食材・食品はあまり余分に買わず、使いきる・食べきることに集中すれば、食品ロスも減らせるはずです。
備蓄用の食料品をムダにしないためには、カレンダーアプリを利用するのもよい方法です。
たとえば保存期限の半年とか1年前に通知が届くようにして、通知が来たら新しいものに買い替え、前のものは順番に食卓に載せていけば、無理なく消費できます。
まとめ
保存がきく食品を多めに買い、食べた分を補充していくローリングストック法は、備蓄と食品ロスの防止が同時にできて一石二鳥です。
緊急時でも必要な栄養がとれるように、「炭水化物」「タンパク質」「ビタミン・ミネラル・食物繊維」の各グループで自分に合った備蓄食料を選んでおくと安心です。
「おいしく食べられる」というのも大事なポイントです。そうでないと続かないし、人間は食べ物で癒されたり、逆にストレスを受けることもあるからです。
いまは、非常食として開発されたものでもおいしいものがいろいろあります。オンラインストアのレビューなども参考にして選ぶとよいでしょう。
また、最後に書いたように、ローリングストックという方法が向かない人もいます。その場合は無理しないで、ふだんの食事と備蓄を分けながらムダが出ない工夫をしてみてください。