マーガリンなのに体に悪いトランス脂肪酸がバターより少ない商品が増加中

トランス脂肪酸の少ないマーガリン

マーガリンと聞くと「トランス脂肪酸が心配」と思う人、多いのでは?

でも、そのイメージはちょっと修正すべきかもしれません。

なぜなら、最近の進化したマーガリンには、トランス脂肪酸がかなり低減されたものがあるからです。

今回取り上げた「植物素材でつくった 発酵豆乳入り マーガリン」もそのひとつ。

商品の特徴とともに、トランス脂肪酸の基礎知識昨今のマーガリン事情についてもお伝えしていきます。ぜひ最後までお読みください。




トランス型脂肪酸が少ない製法で作られたマーガリン

トランス型脂肪酸が少ない製法で作られたマーガリン

株式会社創健社(横浜市)の「発酵豆乳入りマーガリン」は、100%プラントベース(植物素材)で作られた製品です。2023年4月にリニューアル発売されています。

リニューアルのポイントは、新しい発酵方法の豆乳で美味しさがアップしたこと。とりすぎはNGといわれるトランス脂肪酸の少ない製法で作られているのも大きな特徴です。

このマーガリン10gに含まれるトランス脂肪酸は0.03g。バター(10g中0.19g)の6分の1以下です。

ちなみに10gは1回の使用量の目安です。

50年以上SDGsを続けてきた同社Webサイトより)自然食品メーカー創健社は、30数年前からトランス脂肪酸の低減に努めてきたそうです。

環境や社会に配慮した「 RSPO認証パーム油」を使用

環境や社会に配慮した「 RSPO認証パーム油」を使用

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発酵豆乳入りマーガリンに使われているパーム油は、2018年から「RSPO(MS)」認証パーム油です。

パーム油の原料のアブラヤシの生産には、農園(プランテーション)開発に伴う熱帯雨林破壊や農園労働者の人権問題など、解決すべき深刻な課題があります。

そこで2004年、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)がPSPO認証制度を設け、「環境や社会に配慮したパーム油生産」を認証することになりました。

同社は、日本国内で初めて食品に「RSPO」認証パーム油を使用した実績を評価され、WWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン)より「ボルネオウンピョウ賞」を授与されました。

gakei
gakei
ボルネオウンピョウってこんな感じの動物です。
ウンピョウ

発酵豆乳入りマーガリンの商品情報

【商品名】発酵豆乳入りマーガリン

【内容量】160g

【税込価格】422円(税抜価格390円)

【賞味期間】240日

【原材料】食用植物油脂(国内製造)、食用精製加工油脂、発酵豆乳(大豆を含む)、食塩/レシチン(大豆由来)、酸化防止剤(トコトリエノール) 

  • 原材料の発酵豆乳とレシチンの大豆は、遺伝子組み換えの混入を防ぐため分別生産流通管理を行っている
  • 無香料・無着色
  • 食塩はまろやかな風味の粗塩を使用
  • トコトリエノールはパーム油由来のもの
  • 部分水素添加油脂は不使用

トランス脂肪酸とは何?

トランス脂肪酸とは何?

そもそもトランス脂肪酸って何?と思った人のために、かんたんに説明しましょう。

トランス脂肪酸とは、マーガリンやショートニングなどの油脂製品を作るプロセスで発生する脂肪酸の1種で、反すう動物である牛、山羊、羊などからできた乳製品や肉にも入っています。

出典:厚生労働省 トランス脂肪酸に関するQ&A

実は、バターや牛乳などにも、少ないけれどトランス脂肪酸は入っているわけですね。

 加工食品のトランス脂肪酸と天然のトランス脂肪酸で、健康に及ぼす影響の違いについては、十分な科学的データがないそうです。

出典:農林水産省 すぐにわかるトランス脂肪酸

トランス脂肪酸の摂取量の目安は1日2g未満

トランス脂肪酸の摂取量は、日本人の場合、1日に約2g未満が目安とされています。

これは、2003年に「食事、栄養及び慢性疾患予防に関するWHO/FAO合同専門家会合」が発表した、「食品からとるトランス脂肪酸の摂取量についての勧告」にもとづいて計算されたもの。

その中で、トランス脂肪酸の摂取量を、総エネルギー摂取量の1%に相当する量よりも少なくするよう勧告をしています。日本人が1日にとるエネルギー量の平均は約1,900 kcalであり、この1%に相当するトランス脂肪酸の量は約2グラムです。

農林水産省 すぐにわかるトランス脂肪酸より

トランス脂肪酸は摂りすぎると健康に悪影響

トランス脂肪酸は摂りすぎると健康に悪影響

問題は、トランス脂肪酸を取り過ぎた場合の健康への悪影響です。

平均的な日本人より多いトランス脂肪酸摂取量を基にした諸外国の研究結果によると、トランス脂肪酸の過剰摂取により、心筋梗塞などの冠動脈疾患が増加する可能性が高いとされています。

厚生労働省 トランス脂肪酸Q&Aより

こうしたリスクについては、メディアでも何度も取り上げられ、「マーガリンにはトランス脂肪酸が多いから、食べ過ぎは危険」という認識が広まっていきました。

gakei
gakei
実際は、ケーキ、クッキー、袋菓子、マヨネーズやドレッシング類、レトルト食品などにもトランス脂肪酸が含まれているので、日頃の食行動も含めて考えないとね。

マーガリンの改良が進んでいる(ただし全部ではない)

マーガリンに含まれるトランス脂肪酸は、平成18年(2006年)頃のデータを見ると確かに多く、標準的な商品でも、パン2枚分ぐらいで1日の基準値に近くなってしまいます(下の表を参照)。

でも、その後、低減される傾向にあることが、農林水産省のデータであきらかになっています。

平成26・27年度(2014・2015年度)には、中央値で比べると、バターよりもマーガリンのほうがトランス脂肪酸の含有量が少ないという結果が出ています。

農林水産省は、平成26・27年度に、食品中のトランス脂肪酸の含有実態を調査しました。その結果、平成18・19年度にも調査した食品のうち22品目で、試料の採取方法等が異なるものの、平成18・19年度よりトランス脂肪酸濃度が低い傾向にあることが確認できました。

平成26・27年度調査結果(穀類加工品、乳類、油脂類、菓子類、嗜好飲料類、調味料・香辛料類、調理加工食品)より)

  平成18・19年度 平成26・27年度
  中央値(g/食品100g) 中央値(g/食品100g)
マーガリン 20点    8.7 46点 0.99
ファットスプレッド 14点    6.1 33点 0.69
ショートニング 10点  12 24点 1.0
バター 13点    1.9 --

(平成18・19年度調査結果と平成26・27年度調査結果より作成。バターは平成26・27年度は調査対象外)

マーガリンとファットスプレッドの違いは、含まれている油脂の量です。油脂含有率が80 %以上のものがマーガリン、80 %未満のものがファットスプレッドと呼ばれています。

また、上の表で示されているのは100g中の含有量であることにご注意を。

データはあくまでも中央値、つまり「数値が小さい順、または大きい順に並べて真ん中になった値」なので、商品によってばらつきがあるのが現状です。

どのメーカーにもコストなどの事情はあるのでしょうが、消費者のために、積極的に改良を進めてほしいものですね。

まとめ

トランス脂肪酸の少ないマーガリンのご紹介と、トランス脂肪酸の基礎知識マーガリンのトランス脂肪酸が減少傾向にあることなどをお伝えしました。

トランス脂肪酸の1日の摂取量の目安は「約2gより少ない量」というのは、ぜひ覚えておきたいですね。

もともとマーガリンはバターの代替食として生まれたもの。かつては人造バターと呼ばれ、マーガリンという呼称が使われるようになったのは1952年だそうです。(参考:Wikipedia)

長い歴史の中でマーガリンのトランス脂肪酸低減も進みつつありますが、業界全体にまで浸透していないのは残念です。

gakei
gakei
個々の商品のトランス脂肪酸の含有量は、公開している企業とそうでない企業があります。そもそも表示義務がないんです。でも、教えてくれたらいいのにね。
植物性乳酸菌で発酵させた豆乳を使用しました。純植物性100%のマーガリン。香料、着色料不使用。トランス脂肪酸の少ない製法で作りました[約0.03g/10g]。部分水素添加油脂不使用。
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