鳥インフルエンザの影響で卵の供給量が減り、価格が跳ね上がる事態となっています。
いわゆるエッグショックです。
そのため、卵を使ったメニューを休止したり、代替卵に切り替える飲食店・販売店が相次いでいます。
本物の卵のオムライスやパンケーキ、タルタルソースもメニューから消えていく……。
この現象は、今後も広がっていくのでしょうか?
外食大手の約3割が卵メニューを休止
エッグショックが止まりません。
帝国データバンクの調査によれば、2023年4月5日の時点で、外食大手の約3割が卵メニューを休止しています。
3月5日の時点では、卵メニューを休止している企業は約2割でした。1か月で1割増えたことになります。
各社が発信した「休止のお知らせ」で、おもな理由として挙げているのは「深刻な卵不足」や「価格の高騰」。
(これは最近、代替卵が注目されている理由とも重なります。)
また、まだ休止に至っていないものの、今後その可能性がある企業も2社あることがわかりました。
※調査対象は上場する外食主要100社。各社発表(店頭開示含む)に基づく。対象は、季節限定などを除いた各社定番メニューを主体とした。
出典:帝国データバンク
さまざまなメニューの休止で広がる「卵ロス」
提供が休止された卵メニューの内容も、和洋中華と幅広いジャンルにわたっています。
実際にどこの店が休止を決めたのか、情報を拾ってみました。
マクドナルドは「てりたまマフィン」の販売を休止、コンビニのセブンイレブンは「セブンプレミアム 半熟煮たまご」など15品目の販売を休止。
その他、ファミリーレストランのデニーズ(オムライスなど)、ガスト(パンケーキなど)、中華チェーンのバーミヤン(天津チャーハンなど)、日高屋、うどんチェーンの丸亀製麺(とろ玉うどんなど)といった飲食店が、一部の卵を使ったメニューを休止しています。
帝国データバンクの調査の対象外である小規模な飲食店や小売店も含めると、実際はもっと深刻な卵ロスが起こっていると思われます。
在庫不足の中、卵の価格はさらに高騰
エッグショックへの対応策として、各社は海外からの加工用卵の輸入や代替卵などで対応しようとしていますが、それでも必要な数の卵を確保するのが難しい状況です。
それに追い打ちをかけるように、鶏卵の価格も高値を更新しています。
「JA全農たまごによれば、鶏卵1kg(東京Mサイズ)の卸売価格は350円に達し、過去最高値を更新」(プレスリリースより引用)という状況です。
この傾向はまだ続くとみられています。
鳥インフルエンザで国内の採卵鶏の殺処分数は過去最多に
エッグショックの引き金となった鳥インフルエンザに関しても、4月4日にNHKニュースが「今シーズン殺処分された鶏は過去最多」と報じたばかりです。
出典:鳥インフルエンザ 処分数が過去最多 16道県で埋める土地も不足 | NHK | 鳥インフルエンザ)
さらに、4月6日には北海道で3例目の鳥インフルエンザが見つかり、新たに31万羽の殺処分が決まったとのニュースも入りました。千歳市だけで合計約120万羽が処分されます。
この影響は半径10キロ以内の養鶏場にもおよび、鶏の移動や搬出に制限がかかります。殺処分される鶏と合わせると、「北海道全体の飼育数の3割以上」にもなるそうです。
出典:速報 北海道千歳市だけで、3か所目の“高病原性”鳥インフル…新たに31万羽を殺処分、制限も合わせて飼育数の3割以上 | TBS NEWS DIG (1ページ)
こうした状況を考えると、卵の安定供給が回復するにはまだまだ時間がかかりそうです。
まとめ
エッグショックの影響による飲食大手の卵メニュー休止、その具体例などを調べてみました。
鳥インフルエンザ、卵の価格高騰という背景を考えると、この傾向はますます強まり、いろいろな方面に波及していきそうです。
いつでも身近にあった卵、物価の優等生といわれた卵。
その思いがけない変貌は、私たちが「当たり前が当たり前でなくなった時代」に生きている、ひとつの証なのでしょう。
鳥インフルエンザについては、こちらに大変わかりやすい解説があります。ご参考までに。
「正しく理解しよう 鳥インフルエンザ」日本野鳥の会Webサイト
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