代替肉の中でも、今後とくに注目を集めそうなフルーツミート。
フルーツミートの原材料であるジャックフルーツは、代替肉に適した特徴をいくつも持っています。
また、これまで供給過多で大量に捨てられていた果物でもあり、活用が広がれば食品ロスの削減にも大きく貢献できるのです。
フルーツミートとジャックフルーツの特徴、メリット、どこで売っているか（食べられるか）など、いろいろ調べてみました。
フルーツミートとは
フルーツミートとは、ジャックフルーツというトロピカルフルーツで作られた代替肉です。
アメリカやイギリスなどでは、ヴィーガンをはじめ、プラントベースフードの愛好者に人気です。
「野菜ならわかるけど、フルーツで肉の代用品を作るの？」
意外に思う人も多いと思いますが、材料のジャックフルーツは野菜のような使い方もでき、生でも加熱しても食べられる、とても応用範囲の広い果物なのです。
フルーツミートはアップサイクル食品
フルーツミートはアップサイクルされた食品でもあります。
アップサイクルとは、本来は捨てられるはずのモノに付加価値を持たせ、より価値のある新しい製品に生まれ変わらせること。
実はジャックフルーツは、廃棄量の多さが問題になっている果物です。大量に実るにもかかわらず、インドでは7割以上が消費されずに捨てられてしまうそう。
そのジャックフルーツが食材として見直され、「フルーツミート」という製品に生まれ変わることは、食品ロス（フードロス・フードウェイスト）の削減、地球環境保護にもつながります。
このように、SDGsの方向性とマッチしたサステナブルな食品であることも、フルーツミートが注目されている理由のひとつです。
フルーツミートの原材料「ジャックフルーツ」の特徴
ジャックフルーツとは
あらためてジャックフルーツの特徴を挙げてみましょう。
ジャックフルーツは、東南アジア、南アジア、アフリカ、ブラジルなどで栽培されるトロピカルフルーツです。
ジャックフルーツという英語名のほかにパラミツという名前もあります。漢字は波羅蜜という字が当てられています。
果実は幹からぶら下がるようにして実り、育つと最大40～50キロにもなることから「世界最大の果実」といわれています。
フルーツミートに使われるのはヤンググリーンジャックフルーツ
フルーツミートに使われるのは、まだ熟していないヤンググリーンジャックフルーツと呼ばれるものです。
大きな果実と耐久性のある木材を利用するために、湿地熱帯地方全体で広く栽培されています。緑がかった未熟な果実は野菜として調理され、茶色の熟した果実は、種子を取り巻く甘酸っぱいが味気ない果肉を生で食べられます。種子は地元で調理されて食べられます。
出典：Britannica https://www.britannica.com/plant/jackfruit
熟したジャックフルーツの味は「甘酸っぱいが味気ない」と書いてありますが、品種によっても味が違うようです。「完熟はとても甘く濃厚」「バナナとパイナップルとマンゴーを合わせたような味」という情報もあります。
ジャックフルーツは肉の食感を再現しやすい
ジャックフルーツの第一の特徴は、果肉をほぐすと繊維状になり、細かく刻んだ肉のような食感になること。
アメリカやイギリスで好まれる料理にプルドポーク（豚のかたまり肉を加熱してやわらかく仕上げ、細かくほぐしたもの）がありますが、ジャックフルーツでできたフルーツミートは、これと食感が似ていると評判なのです。
熟す前のジャックフルーツはほとんど無味無臭
フルーツミートに使われるジャックフルーツの未熟な果実は、それ自体ほとんど無味無臭です。そのため、幅広い用途に使うことができます。
調理例を調べると、カレーに入れたり、炒め物にしたり、スパイシーな味付けをしてタコスの具にする食べ方も好まれています。
これからフルーツミートが広がれば、さらにいろいろな料理に応用されていきそうです。
肉に似せるための添加物がいらない
ジャックフルーツには、肉に似せるための添加物を使った加工がいらないというメリットもあります。
フルーツミートの供給元であるSustainable Food Asiaの公式noteには、「ジャックフルーツは細胞形状が牛肉に近い」「添加物を用いない加工を通して肉に近い赤みを自然に発するのが特徴」と書かれています。
出典：Sustainable Food Asia公式note https://note.com/sfaofficial/n/nee3eb58bbbc7
フルーツミートの糖質は？他の栄養は？
フルーツミートの栄養面の特徴は、まず低糖質、低脂質であることが挙げられます。そして繊維質はごぼうよりも豊富に含まれています。
栄養成分からみて、同じフードテック製品である大豆ミートと比べても、よりダイエットに適しているのです。
また、ジャックフルーツにはビタミンA（β-カロテン）やビタミンCも豊富に含まれているので、抗酸化食品としても優秀です。カルシウム、マグネシウム、カリウムなど、体調維持に欠かせないミネラルも含まれています。
ただしタンパク質は少なめです。肉の代わりにフルーツミートばかり食べるような食生活を続けると、タンパク質が不足してしまうおそれがあります。他の食材でタンパク質を補いつつ、上手に取り入れていくとよいでしょう。
フルーツミートはどこで売ってる？食べられる？
ジャックフルーツが買える通販サイト
2023年4月現在、フルーツミートそのものを販売している日本の通販サイトはみつかりません。
フルーツミートの素材として使える、未成熟のジャックフルーツの水煮の缶詰や瓶詰はネットで買うことができます。
黄色い果肉のものは甘いので、間違えないようにしましょう。
CLEARSPRING(クリアスプリング) 有機ジャックフルーツ
ジャックフルーツの通販
フルーツミートが食べられるお店
Tacos café×Howdy（東京・有楽町/販売終了）
2023年3月、有楽町マルイで開催された期間限定のポップアップカフェTacos café×Howdyに、フルーツミートタコスが登場しました。
こちらのカフェにフルーツミートを提供したのは、アジア発のサステナブルな食材を扱うSustainable Food Asia株式会社です。
出典：https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000097540.html
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参考フルーツミート等アジア発の新食材・フードテックのサステナブルフードラボ
フルーツミートをご存じですか？ Sustainable Food Asia株式会社が手がける新しい代替食品（代替肉）です ...
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フルーツミートタコスの口コミ
Tacos café×Howdy でフルーツミートタコスをテイクアウトした人の感想がTwitterにありました。肉っぽさがあっておいしかったようです。
有楽町マルイの1F「タコスカフェ」で、タコスを買ってきて食べたヨ。大豆ミートを使ったタコスと、フルーツミート（ジャックフルーツを代替⾁にアップサイクル）を使ったタコス。肉じゃないけど、肉っぽさや食べごたえがあっておいしかった。ステッカーもらった😊 3月26日までの限定ショップ。 pic.twitter.com/4ZCSac0vdb
— 溝呂木一美：イラストレーター・ドーナツ探求家／マツコの知らない世界出演 (@hitomi_mizorogi) March 24, 2023
PUBLIC HOUSE Yoyogi Uehara（東京・代々木上原）
それより前から継続的にフルーツミートの料理を出しているお店が東京にあります。
代々木上原駅前の「PUBLIC HOUSE Yoyogi Uehara」（東京都渋谷区西原3-11-8）です。
こちらで使われているフルーツミート料理は、同店の運営元のグッドイート・カンパニーhttps://goodeatcompany.com/（カフェ・カンパニー https://www.cafecompany.co.jp/）と、前出のSustainable Food Asiaが共同で開発したものです。
「PUBLIC HOUSE Yoyogi Uehara」では、2023年4月現在、ディナーメニューとして次の2種類のフルーツミート料理が食べられます。
【フルーツリエット】（850円＋税）
リエットとはフランスの豚肉料理で、刻んだ豚肉をラードでとろとろに煮込んでから固めたもの。ペーストのように、パンやトーストなどに塗って食べることができます。
これをフルーツミートで再現した一品には、「トリュフとオレンジ香るジャックフルーツのペースト 自家製フォカッチャと一緒に」と説明書きがついています。
【フルーツガパオ】（1450円＋税）
日本でもポピュラーなタイ料理、ガパオライスの肉の代わりに、フルーツミートと大豆ミートが使われています。
まとめ
新しい代替肉「フルーツミート」と原料のジャックフルーツについて調べてみました。
育てるのが簡単で収穫量も多く、種まで食べられる。そんなありがたい果物なのに、大量にムダにされてきたジャックフルーツ。
これがもっと活用されていけば、環境への負荷が軽減され、将来の食料問題にも貢献することでしょう。
しかも、添加物なしで肉と同じ色や食感が実現できる点は、添加物が多くなりがちな他の代替食品と比べてとてもヘルシーです。
フルーツミート、これからますます支持者が増えていくのではないでしょうか？