昆虫食に関して、いまは大きく意見が分かれている状況です。
「いやだ、避けたい」という人。
「食べたい。実際に食べている」という人。
「しばらくようすを見る」という人。
あなたがどんな立場でも、昆虫食のデメリットとメリット、両方を知っておいて損はありません。
この記事では「昆虫食の具体的なデメリットとその根拠」「昆虫食の具体的なメリットとその根拠」について、わかりやすく説明しています。
そして、昆虫食を安全に行なうための3つのポイントも載せました。
昆虫食の良い点も問題点も正しく知りたい、そのうえで自分のスタンスを決めたいという人は、ぜひお読みください。
昆虫食のデメリットとは
見た目などで抵抗を感じやすい
昆虫食の最大のデメリット。それはみなさんも想像するとおり、あの見た目やイメージによる抵抗感です。
2022年3月1日、日本トレンドリサーチ社(運営元:株式会社NEXER(https://www.nexer.co.jp)が「昆虫食についてのアンケート調査」の結果を発表しています。
アンケートに回答した男女800人のうち、これまでに昆虫を食べたことがある人は30.1%、食べたことがない人は69.9%でした。
昆虫を食べたことがない人のうち、「これから昆虫食をしてみたいか」という質問に、「してみたい」と答えた人は9.1%、「してみたいと思わない」と答えた人は90.9%でした。
「昆虫食をしてみたいと思わない」と答えた人にその理由を聞くと、やはり次のような回答が含まれていました。
「気持ち悪いから」(40代・男性)、「虫嫌いだから」(10代・女性)、「食べなくても見てるだけで無理なので」(60代・女性)、「栄養価が高いしおいしいものもあるとは聞いたことがあるが、どうしても生理的に受け付けない」(50代・女性)。
引用元:【昆虫食】30.1%の方が、これまでに昆虫を食べたことが「ある」(https://trend-research.jp/)
昆虫食を販売する会社の人でも、本やブログなどで「最初はイヤだった」とコメントしているのを見かけます。昆虫の見た目やイメージの悪さがハードルを高くしているのは間違いないでしょう。
アレルギーの危険性がある
昆虫食は、エビやカニなどの甲殻類にアレルギーのある人には、同じ症状を引き起こす危険性があります。
なぜなら甲殻類と昆虫類は、ともに「汎甲殻類」のカテゴリに属する、生物学的に近い存在で、甲殻類のアレルギー成分と同じような成分(トロポミオシンやキチン質)が、昆虫にも含まれているからです。
そして、昆虫からアレルギー成分をなくす技術はまだ確立されていません。
以上のことから、甲殻類アレルギーがある人は昆虫食を避けたほうがいいでしょう。
付け加えるなら、「軟体動物やダニなどのアレルギーを持つ人もアレルギー反応が出る可能性あり」というデータもあります。十分に注意しましょう。
出典:株式会社 バイオ・シータ 食品細菌迅速自動検査システム DOX (DOX-60F DOX-30F) 一般生菌/大腸菌(群)を迅速に測定 - 第91話 「昆虫食の安全性確保」(https://www.bio-theta.co.jp/)
なお、昆虫の細菌や寄生虫の危険性を指摘する声もありますが、これに関しては、昆虫食を提供する側の品質管理や、食べ方の問題もからんできます。
それについてはこの記事の最後、「昆虫食の危険を避け、安全に向き合うための3大注意点」をお読みください。
値段が割高になりやすい
日本で昔から食べられているイナゴや蜂の子の佃煮などに加えて、現在は新しく開発されたいろいろな昆虫フードが市場に出てきました。
加熱・乾燥された昆虫スナック、昆虫パウダー、昆虫パウダーを混ぜたお菓子やプロテイン等々、バリエーションは増えつつあります。
昆虫フードは、内容量とのバランスを考えると概して値段が高めです。
割高な値段になる理由のひとつに、食用昆虫の需要の少なさがあります。もっと需要が増えればそれに応じて値下げもできるしょうが、現状はまだ難しいようです。
とはいえ、金額的には数百円から千円台で買えるものも多く、そうしたものは「ちょっと高級なおやつ(おつまみ)」という感覚で買われているようです。
昆虫食のメリットとは
効率的に生産できる
第1のメリットとして、昆虫は生産効率が高いことが挙げられます。
全国食肉協同組合の資料によれば、農家で育てられた肉牛が出荷されるまでは約30カ月かかります。しかし、たとえばコオロギを養殖した場合は30日ほどで出荷できます。
また、昆虫は小さく、狭いスペースで膨大な数を飼育できるので、同じ生産量でも、必要とする土地の面積は家畜よりもはるかに狭くなります。
このように、昆虫は短期間で効率よく大量生産ができるので、「将来の食料不足、タンパク質不足を補うのにふさわしい食材」として研究が進んでいるのです。
環境負荷の軽減が期待される
環境負荷が抑えられるという点も、昆虫食が推奨されている大きな理由のひとつです。
昆虫は、タンパク源となるほかの家畜と比べて、飼育に必要なエサや水の量、CO2などの温室効果ガスの排出量が圧倒的に少ないことがわかっています。
そうした点から、昆虫食が広がり、従来の家畜の生産量を抑えられれば、環境破壊にも歯止めがかかると期待されています。
栄養価が高い
栄養価が高いのもメリットのひとつです。昆虫には、タンパク質、ビタミン、ミネラル、脂質など、人間に欠かせない栄養素が含まれています。
昆虫に含まれる糖質は少ないですが、肥満が問題になっている先進国では、それはむしろメリットになります。
NHKの「サイエンスゼロ」(2022年2月6日放映)という番組の中で、昆虫食の研究を行っている東京農工大学准教授の鈴木丈詞氏は、次のように語っています。
「昆虫は牛や豚、鶏といった家畜と同等で、2割ほどのタンパク質を含みます。さらに、乾燥させると濃縮されて、タンパク質は6~7割になります。いわば『次世代タンパク質』と言えます」
鈴木教授が語っているように、昆虫のタンパク質の含有率そのものは牛、豚、鶏とあまり変わりません。昆虫を乾燥させて水分の割合が減れば、より高タンパクになりますが、それも他の食肉や魚の場合と同じです。
ただ、日本で実際に出回っている昆虫食品を見ると、火を通して乾燥させた加工食品が多く、概して高タンパクです。他の食材と混ぜて使えるパウダーなどもあります。そうしたものを取り入れれば、手軽にたくさんタンパク質をとれるのは間違いないでしょう。
昆虫食のリスクを避け、安全に向き合うための3大注意点
1、自分の体質・体調と相談する
前述のように、昆虫食にはアレルギーのリスクがあります。甲殻類などにアレルギーのある人は昆虫食を控えましょう。
また、試すならなるべく体調のよい時を選びましょう。
これまでアレルギーを発症したことがなくても、昆虫を食べて不調が生じる可能性はゼロではありません。異変を感じたら、病院で診てもらうことをおすすめします。
2、生食など間違った食べ方をしない
昆虫は生食厳禁。かならず火を通して食べるものだと思ってください。
とくに野生のものには細菌や寄生虫が多く含まれています。どんなものを食べていたかもわかりません。そうしたものを生で食べるのは大変危険です。これはほかの野生動物でも同じです。
さらに言うなら、食用昆虫だけでなく、私たちがふだん口にしている肉、魚、野菜といった生鮮食品にも細菌や寄生虫のリスクはあります。しかし、生産、流通、調理の段階で衛生管理が行なわれているため、おおむね安心して食べられるわけです。
また、火さえ通せばどんな昆虫でも食べてかまわないかというと、それも違います。加熱しても消えない毒を持った昆虫もいます。
危険を避けるには、火を通した、食用としてポピュラーな昆虫を食べる。逆にいえば、生食や未知の昆虫は避ける。これを守ってください。
また、昆虫には人間の胃腸で消化できない繊維質も含まれているため、一度にたくさん食べるのも健康によくないです。試すときは少しずつにしましょう。
3、「アレルギー表示がないから大丈夫」と考えない
市販の昆虫食品の中には、原材料やアレルギーに関する記載がないものが混じっていることがあります。
なぜなら、日本ではいまのところ、昆虫食品に対するアレルギー表示が義務化されていないからです。
「アレルギー表示がないから誰が食べても大丈夫」ということにはならない。このことを覚えておいてください。
とくにオンラインショップだと商品を直接手に取れないので、サイト上の商品説明をきちんと読んでから購入することをおすすめします。
まとめ
昆虫食のデメリットとメリット、昆虫食をする際の注意点についてお話ししました。
昆虫食をする・しないは個人の自由ですが、食べ物は健康に直結するものなので、いろいろな情報を知っておくことは大切ですよね。
昆虫食については、このサイトでも引き続きレポートしていきますので、お読みいただければうれしいです。
そして昆虫食を試してみたい人は、わかりやすい説明がついた商品を選ぶと安心ですね。
こちらの昆虫食専門の通販サイトでは、商品紹介のページの一番下に「商品情報」として詳しく記載されていますので、参考にしてください。