「環境にやさしい」「ヘルシー」といわれる大豆ミート。
でも、カードに必ず表と裏があるように、大豆ミートにもデメリットがあります。
食べ方や選び方によっては体によくなかったり、「おいしくないかも……」となるケースもあるのです。
今回は、大豆ミートのデメリットを検証し、その影響を受けないための食べ方や商品の選び方を提案します。
これを読めば、あなたも安全においしく大豆ミートを食べられます。
デメリット1 食べすぎると体に悪い
食べすぎると食物繊維の過剰摂取につながる
大豆ミートを食べ過ぎて食物繊維が過剰に体内に入ると、体調をくずすおそれがあります。
なぜなら、大豆に含まれているのはおもに水溶性食物繊維ですが、これをとりすぎると下痢を起こしやすくなるのです。また、栄養の吸収が悪くなってしまうともいわれています。
食物繊維は適度にとれば、腸のはたらきを高めたり、コレステロール濃度や血糖値の上昇をおさえてくれるなどメリットが大きいのですが、過剰摂取は禁物なのです。
食べすぎるとイソフラボンの過剰摂取につながる
大豆ミートの食べすぎでイソフラボンを過剰に摂取した場合も、リスクがあります。大豆イソフラボンについては、内閣府の食品安全委員会も「乳がん発症や再発のリスクを高める可能性がある」と指摘しています。
2006年5月、食品安全委員会は「大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限」を1日当たり70~75 mg/日、「特定保健用食品として摂取する場合の安全な一日上乗せ摂取量の上限」を1日当たり30 mg/日に設定しました。
ただ、農林水産省は次のようにも述べています。
日本人は、豆腐、納豆、煮豆、みそなどの「伝統的な大豆食品」について、日常の食生活における長い食経験があり、これらの大豆食品を食べることによる大豆イソフラボンの健康への有害な影響は、現時点では確認されていません。(農林水産省「大豆および大豆イソフラボンに関するQ&A」より引用)
日本人が長年食べてきた伝統的な大豆食品で、有害な影響があった事例は見つかっていないというのです。
大豆ミートのイソフラボン含有量は?
では、伝統的な大豆食品でも特定保健用食品でもない大豆ミートについては、どう考えたらいいのでしょうか。
複数の大豆ミートのメーカーのサイトを調べると、「湯戻しした大豆ミートのイソフラボン含有量は、100g中に43~50mg(40~50mgとするサイトもあり)で「おからの約5倍」と計算されています。
大豆ミートのイソフラボン含有量はかなり多いことがわかります。
仮に大豆ミートを100g食べ、さらに納豆1パック(45g)を食べたとすると、納豆に含まれるイソフラボンは36㎎前後なので、それだけで1日の摂取量の目安を超えてしまいます。
そのほかにみそ、しょうゆなどの調味料も使うことを考えると、やはり食事は大豆ミートにあまり偏らないように、バランスをとることが必要ですね。
デメリット2 添加物や塩分が多い場合がある
加工の度合いが高ければ添加物が多くなる
大豆ミートには、水で戻して使う乾燥タイプから、調理済みで温めるだけで食べられるものまでいろいろな種類の商品があります。
忙しい人などは、「手間のかからない便利な大豆ミート」に手が伸びるかもしれません。でも、そこにはデメリットもあります。
便利な商品ほど加工の度合いが高く、加工の度合いが高いほど多くの添加物が使われているからです。
こちらが手間をかけない分、メーカーが製造段階で「味をととのえたり、色や香りをつけたり、長期保存を可能にするための添加物を入れる」という手間をかけているわけです。
食品添加物の安全性について、消費者庁はこのように説明しています。
食品添加物は、科学的な根拠に基づきリスク評価され、過剰摂取による健康影響が生じないように、必要に応じて添加できる上限量(最大使用量)を設定することにより、安全性が確保されています。
(食品添加物表示に関するマメ知識(消費者向け)より引用)
こうした規制によって、個々の食品に使われる添加物の量は調節されています。しかし、私たちが頻繁にそれなりの量の加工食品を食べたとしたら、おのずと添加物が口に入る量も多くなります。
ヘルシーなイメージの大豆ミートにも、こうした側面があることは覚えておくべきでしょう。
味を優先して高塩分、高カロリーになっていることがある
大豆ミートは植物素材でできているだけに、見た目は肉に近くても肉のような旨味はありません。脱脂大豆(大豆の油分を絞った後のもの)だと、なおさら味が淡白になります。
そのため、おいしく大豆ミートを食べようとすると味つけが濃くなったり油を多く使ったりして、塩分やカロリーが増えてしまいがち。
それでも自分で調理するならコントロールできますが、調理済みの加工品や飲食店で出されるものは難しいですよね。生活習慣病が気になる方はとくに注意が必要です。
デメリット3 うっかりするとまずい料理が出来上がる
大豆ミートは、調理にひと工夫しないと「まずい」と感じてしまうデメリットもあります。
なぜなら、普通の食材のように煮たり焼いたりするだけだと、大豆そのままの味や香りが残りがちだからです。
そうすると、「見た目が肉なのに肉らしい味や香りがない」という違和感も手伝って、おいしく感じられなくなってしまいます。
また、乾燥タイプの大豆ミートを料理に使う際、水で戻す作業がちゃんとできていなかったり、調味料のなじませ具合が足りない場合なども、おいしく仕上がりません。
対策としては、香辛料などを上手に使うこと、使う前の下処理を丁寧に行うこと、あらかじめ下味をつけてから調理するように心がけるとよいでしょう。
デメリット4 やや値段が高い
大豆ミートの値段は、全体的に安いとはいえません。流通量がそこまで多くないこと、原料の大豆の価格が高騰していることなどが原因です。
大豆の価格が高騰しているのは、ロシアのウクライナ侵攻や、中国での大豆の消費量が増えたこと、産地である南米の天候不順などの影響といわれています。
大豆ミートの値段に関して、Twitterの声を拾ってみました。
液体タレで下味ついてる大豆ミートは結構肉感あるし大豆ミート肉まんとか肉汁みたいなの出るし調理次第でかなり化けると思った。>RT
値段も豚肉以上牛肉未満で常食には高いけど嗜好品的にはアリな感じ。— 鵺 (@nue_dotter) March 17, 2023
「ヴィーガンは高い」というのは半分正解で半分間違い。
例えば大豆ミートは、冷凍餃子などの量増しに使われるなど原料としては肉より安い。
問題は小分けして販売するにはまだニーズが少ないこと。
このまま生産量が増え続ければあるタイミングで肉より安くなり、むしろ価格は選択する理由になる。— 工藤 柊ブイクックで”Hello Vegan!”な社会をつくっています (@kudoshu_vcook) July 22, 2020
大豆ミートのデメリットを減らす食べ方・選び方
最後に、大豆ミートのデメリットを減らす食べ方や選び方のポイントをまとめてみます。
大豆ミートのデメリットを減らす食べ方
適度な量をバランスよく食べる
栄養豊富な大豆ミートは、食べ過ぎなければ健康効果が期待できます。
他の食材もバランスよく取り入れて、適量を食べるようにしましょう。畜肉が大丈夫な人は、ひき肉などと混ぜて使ってみるのもよいでしょう。
ていねいに調理する
少しでもおいしく食べるには、まず、商品パッケージに書かれた説明書きをよく読むことが大切です。下処理のしかたが書かれていたら、その通りにすれば失敗することはありません。
味つけには香辛料、エスニック調味料、料理酒などもうまく使うと、大豆特有の香りを消しつつ塩分や糖分を少なめにできるでしょう。
大豆ミートのデメリットを減らす選び方
加工度が低めの大豆ミートを選ぶ
すぐに食べられるレトルト系は便利ですが、添加物や塩分などの問題があるので、ひんぱんに食べることはおすすめしません。
なるべく素材に近い乾燥タイプや、レトルトタイプでも味のついていないものを選ぶとよいでしょう。
原材料・成分、メーカーのポリシーを確認する
大豆ミートを買うときは、原材料や成分を必ず確認しましょう。
パッケージに書かれた原材料は、含有量の多い順に並んでいます。そして、大豆以外のものがたくさん入っているほど加工度が高い商品です。
また、「遺伝子組み換え大豆ではないもの」を使っている場合はそのように表示されているので、それもひとつの目安になるでしょう。
メーカーのWebサイトなどで、製品づくりのポリシーに納得できる会社かどうか確かめるのもおすすめです。
まとめ
この記事では、大豆ミートにひそむデメリット、そしてデメリットを減らすための食べ方や選び方についてお伝えしました。
「食べすぎは禁物」「便利すぎる商品には落とし穴がある」、最低この2つは覚えておきたいものです。
実は、大豆ミートは業務用としては長い歴史があります(1957年に不二製油が最初の商品を開発)。
でも一般消費者にとっては、大豆ミートはまだなじみの薄い食べ物です。メリットとデメリットの両方を知って、自分なりの目安をもつことが大切ですね。
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